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日本の対ベトナム投資

  ベトナムは1986 年のドイモイ(刷新)政策に沿って外国資本への開放を進め、1995 年にASEANに加盟し、2007年にWTO(世界貿易機構)に正式加盟した。対外開放の歩みが着実なことを踏まえ、中国よりも賃金が低いこともあって「チャイナ・プラス・ワン」の言葉の通り中国に次ぐ有望な投資先として外国からの直接投資が増えている。
  2008 年におけるベトナムの対内直接投資の認可件数は1,171件で前年に比べ24.2%減少したが、金額では前年の約3 倍で603 億ドルに達した。そのなかで日本からのベトナム向け投資の認可件数も105件と前年より49件減少したが、金額では72.9億ドルと前年の9.7億ドルから急伸した(石油精製所案件の認可などがあった)。国・地域別に対内直接投資認可額の順位を見ると、1 位マレーシア、2 位台湾、3 位日本となっている。
2009年1月からは、外国資本100%による販売・流通・小売の現地法人の設立も解禁されたので、今後は消費市場としてのベトナムも注目され、関係企業の進出が見られるであろう。
  進出した外資企業にとっての悩みは、戦乱が長く続いたなどのために道路・港湾・エネルギーなどの社会資本の整備が遅れていることである。また関連する地場産業が育っていないため、部品や資材の調達にコストがかかること、労働面では中間管理職が不足しているなどの問題もある。インフレの進行によって賃金が徐々に上昇しているが、これは通貨(ドン)安によって緩和される面があるし、ベトナムの国内市場の拡大にとって避けては通れない道であろう。
  2008年2~3月に、日本の外務省がASEAN6カ国において、各国の成人300人にアンケート調査を行った結果が発表されている。その結果は次のようで、ベトナム側から日本への期待度が高いことが印象的である。
  「重要なパートナーと考える国は現在及び今後においてどの国か」との問いに対して、ベトナムでは日本への期待度(現在43%、今後32%)が、アメリカに対する期待度(現在28%、今後23%)および中国に対する期待度(現在17%、今後22%)よりも高い。ASEAN6か国中で、日本への<現在の>期待度がもっとも高いのがベトナムで43%。日本への<今後の>期待度がもっとも高いのは、フィリピンで33%であるが、ベトナムは32%と2位である。
  ベトナム人の対日感情において否定的側面がないことも好材料であろう。10数日前の夕方、NHKのラジオ放送のなかで、ベトナム在住の日本人女性が「現地の対日感情」について尋ねられたのに対し「悪いところが何にもありません」と応答していたのが印象的であった。
  『ものづくり白書 2009』には、2009年1月に経済産業省が日本の企業に対して「アジア生産拠点の5年先の見通し」について、国ごとに、いまより「拡大する」「維持する」「縮小する」のいずれかを尋ねた調査が載っている。「拡大」と答えた企業の割合がもっとも多いのはベトナムで59.5%であった。これに次いでは、タイ51.1%、インドネシア45.5%というアンケート結果であったという。
  近世東アジア型の小農国家をベースとして、小中華型の官僚国家をめざすベトナムの将来を刮目する必要があろう。今後、どういう形で政治の民主化を進めていくかが課題であるが、民族構成が中国ほど複雑ではないだけに取り組みやすいであろう。日系企業.JPG


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