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◆経済成長論◆

 現在の日本には経済成長に関して、さまざまの意見が溢れています。たとえば、つぎに掲げるようなものです。

・ どうして日本経済は成長しないのか。
・ 成長がなければ雇用の拡大も給与の上昇も見込めない。働く世代にとって不幸だから成長を目ざせ。
・ 税率を引き上げたところで、経済の拡大がなければ税収は増えない。
・ 財政再建には経済成長こそが重要である。
・ 経済成長に向けてもっと積極的な手立てを講ずべきではないか。
・ 成熟段階に達した先進国経済では、もはや経済成長はむつかしい。
・ 資源や環境の制約があるから、さらなる成長をめざすのは間違っている。
・ 成長の可能性がないのに、それを求めると社会にひずみを生ずるのではないか。
・ 先進国は、むしろ所得を引き下げる覚悟が必要である。

 これらの意見は明らかに相互に矛盾しています。そのいっぽうで直ちにはどれも間違った考えと感じられず、すべてが妥当なようにもみえます。この問題をどう解きほぐしていけばいいのでしょうか。日本において経済成長の問題をどう考えればいいかを整理していきます。
 手始めに最近時までの日本の実質成長率をつぎに掲げます。このグラフは総務省統計局のHPから容易に得られるものです。

日本の成長率.JPG

 ご丁寧にもこの資料には、過去の成長率の値を何年かずつの段階に分けて平均値を計算したものが記入されています。表中にあるように、1956-73年の平均成長率が9.1%、1974-90年が4.2%、1991-2010年が0.9%です。これによると、日本経済は、いわゆる高度成長期を経た以降はしだいに成長率が低下し、現在は1%前後になっていることが明らかです。
 バブルの崩壊を経験したあと、1990年代以降の日本経済は「失われた10年」という言葉がしばしば使われるように、成長率が振るわなくなっています。これについて主として海外メディアは「日本病」と呼んで反面教師とし「自国において、こうした状況に陥ってはならない」という警戒の声をあげました。
 ところが最近は「日本経済は1%程度の低成長でも経済が破たんしているわけでもない」「失業率が国際的に低いことなどからして、国民が大きな不幸を甘受しているとも思えない」「資源や環境の制約が迫るなかで先進国はむしろ低成長をこそ追求すべきではないか」などと、逆に評価する意見も出ています。


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コメント 1

ゆきりん

先進国は2~3%の経済成長率が望ましいとされていますよね。
日本の1%というのはどう見るべきなのでしょうか。
by ゆきりん (2012-02-07 19:41) 

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